印象 -日の出- (Impression, soleil levant)
1872年 マルモッタン美術館(パリ)
印象派の名称の由来となった、巨匠クロード・モネが手がけた最も有名な作品のひとつ『印象 -日の出-』。当初『日の出』のみの名称で出品されていたが、名称が短すぎるとの指摘を受けて、画家自らが前部に≪印象≫と付け加えた本作は、画家の最も特徴的な手法である筆触分割(色彩分割とも呼ばれ、細く小さな筆勢によって絵具本来の質感を生かした描写技法)を用いて描かれた。
しかし、当時の批評家ルイ・ルロワには「印象?確かに私もそう感じるが、この絵には印象しかない。まだ描きかけの海景画の方がマシだ」と本作を嘲笑する記事を諷刺新聞に寄稿された。この記事によって反伝統のバティニョール派が開催した独立展覧会に出典した画家ら(モネ、ルノワール、エドガー・ドガ、カミーユ・ピサロ、ギヨマン、ベルト・モリゾ、セザンヌ、シスレーなど)が印象派と呼称されるようになった。
本風景の海面、船舶、船の漕ぎ手、煙、そして太陽などの構成要素は筆触分割によって形状や質感の正確性・再現性は失っているものの、大気の揺らぎや、刻々と変化する海面とそこに反射する陽の光の移ろい、陽光による自然界での微妙な色彩の変化など、観る者が受ける風景の印象は、それまでの伝統主義とは決定的に異なるものであった。 |